2012-02-05から1日間の記事一覧

穂田川洋山「自由高さH」【B】

流麗な文体。様々な物事の固形物を流麗な文体で回遊。いわゆる「世界文学」の系譜も感じる。同時に既視感。勤勉さを感じるため、嫌な既視感ではない。評価の難しい作品ゆえ、最後は「面白さ」基準。

松波太郎「廃車」【A−】

面白かったが才能の塊のみという印象。粗削り。この作家はサッカーのものを読んだことがあるが、勢いはこちら。粗削りだが新人らしい。突然挟まれる事故の場面と長いセリフは爽快。

磯崎憲一郎「肝心の息子」【B+】

アンチ大河小説。ネタの印象は強いが成功。この作家の他作品を読んだが、デビュー作に回帰した方がいいのでは。自分も会社員として賛同する作品もあるが、このデビュー作に比べると凡作。この一作のみでは一発屋の印象。それくらい魅力のある作品だというこ…

大森兄弟「犬はいつも足元にいて」【C+】

文章はうまいというか、推敲に推敲を重ねた文章。共同制作ならではの印象。文章は粗を削った点で評価できるものの、イマジネーションまで削りあった印象が強く、退屈。

北野道夫「逃げ道」【B】

「道連れ」を読んでこの作家のデビュー作が気になり読んでみた。ナンセンスを狙いすぎな印象。その点「道連れ」の方を高く評価するが、一貫したにおいを感じる。やはりデビュー作には作家性が凝縮している。ここから暫く若手作家のデビュー作を読むことにし…