2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

三並夏「このときを待っていた」【B+】

好感をもった。これだけ在り来たりな題材で書いて独自性を感じさせるのだから才能があるのだろう。掌編ではなく今度は中篇長篇を読んでみたい。題材面で練りこむ必要はあるが将来性を感じさせる。

羽田圭介「隠し事」【C】

ストーリーがはっきりしており、話自体も悪くないはずなのに、読みきれない。こちらの問題か。量産に向いた文体ではある。ケータイの蔓延する若者社会が存在していることは確かだが、文章が媒体ではやはり困難なのか。漫画で読みたい。

青木淳悟「鎌倉へのカーブ」【B-】

私小説という手法をそれまでのスタイルにからめた実験的作品、といった感。もう少しやり様があったのでは。描写は前回より丁寧になっているが、ストーリー性が逆効果となり全体的に弛緩。

西村賢太「苦役列車」【B】

回想という形式をとるわりにイマイチ感動しなかった。 過去を振り返る文体と、それが現在か過去か簡単に分割できない文体の面白さが個々にはあるものの、一貫しておらずチグハグ。笑える箇所というのはあるにはあるが、それは性のレベルに届かない下ネタレベ…