2015-12-01から1ヶ月間の記事一覧

吉村萬壱 「ボラード病」 【A−】

非常に難しい2011年以降の題材を、バランスよく描いている。倫理意識が非常に高く、メッセージ性に過不足がない。無駄の無い筆致が内容以上に時々息苦しく、いかにも純文学といった作品でもあるが、飽きずに最後まで読める。同じ筆致で貫かれているのに、前…

二瓶哲也 「再訪」 【B】

笑える箇所は多くあり、一種の純文学エンターテイメント。冒頭からの時系列の揺さぶりが中盤・後半にもあったら、メリハリがあっただろうし、文学作品としても評価が高まっただろう。射程範囲も拡がるだろう。これだと単なる青春回想記として読まれかねず損…

北川朱美 「タカハシ先生」 【B−】

タイトル通りの肝心の高校教師の描き方に単調さを感じざるをえず、評価は低くなるが、文章自体には妙な加減がある。堅くなりすぎもせず、緩めすぎもせず。詩人の散文という定型からも上手く出ていると所感。文章が良いので、内容が伴えばといった印象。