文章はうまいというか、推敲に推敲を重ねた文章。共同制作ならではの印象。文章は粗を削った点で評価できるものの、イマジネーションまで削りあった印象が強く、退屈。

「道連れ」を読んでこの作家のデビュー作が気になり読んでみた。ナンセンスを狙いすぎな印象。その点「道連れ」の方を高く評価するが、一貫したにおいを感じる。やはりデビュー作には作家性が凝縮している。ここから暫く若手作家のデビュー作を読むことにし…

凝った作品。ただし新しさというのは感じず、メタとＳＦという落ち目もしくは一昔前の事物を自分なりにアレンジしている印象。隙間産業という印象。文章もそうだが、きちんとした訓練と努力の跡を感じる。好感はもてるが、時代がちがえば同人誌レベルでは。

プロットとして面白い作品だった。ベーシックインカムを受けている人間か否を調べるなどのディテールもよかった。ただ後半はそのプロットに収斂しすぎたきらいがある。場面の移り変わりや主要人物同士がかかわりあう「偶然」も後半は強引に感じた。

この作家の作品はこれまで数作既読。今回をふくめどれも同じ読み方。数頁読んでそれでおしまい。手法をネタとして楽しむ。今作もタイトルどおりの手法をネタとして楽しんで、それ以上は読む気がしなかった。

「男」と「女」と「あなた」を配置した巧みな作品。描写などとってつけた感の否めない部分はあるにせよ、細かいところまで練りこまれている気がする。成功例のすくない二人称小説のなかでも、これは成功の部類に入るのでは。単なる二人称小説ともカテゴライ…