西崎憲「日本のランチあるいは田舎の魔女」【C+】

書きぶりは端正で無駄のない文章だが、内容がとっ散らかってしまっている印象。途中で軸がぶれたか。無駄がない分ぶれだすと修正が難しいのだろう。出だしが象徴的な分今少し時間をかけて修正を加えても良かったのでは。

吉村萬壱「宗教」 【B−】

ですます調の文体は「ボラード病」同様であり、文章の律し方それこそが宗教の如き所感だが、今回は微妙。枚数の問題というより内容そのものだろう。倫理意識も若干あるだろう。類型を描かない類型という規律に縛られている様に感じられ、その高みから語られるですますが喧しい。