滝口悠生「愛と人生」【B】

着想は面白かったし、その着想をきちんと最後まで形にする力はまず良い。但し細部を詰める余り、素材が持ち合わせていた緩さや間が損なわれている。緩急をコントロールできなくはない作家だと感じたゆえ、もう一、二ひねりのやりようがあったのでは。これではモチーフにした素材を愛する人々が落胆。