2013-08-19から1日間の記事一覧

楠見朋彦「滅びの後の音楽」【C+】

作品世界の中に入っていくのが難しい作品だった。自分は低い評価をつけるが、高い評価をつける読者の気持も分かる作品。ただそういう読者は骨董的。題材が題材なだけに残念。皮肉ではなく雑誌という同人誌的作品。

松田青子「英子の森」【B】

リズムの良い文章は要所要所に散りばめられ、眠気が起こる間際でいつも出てくるので眠りはしなかった。ただ文章のリズムとは対照的に時間や場面の動かし方は凡庸に所感。英語教育の話からもっと大きい展開が欲しかった。

松波太郎「サント・ニーニョ」【B+】

台風に当たりにフィリピンまで行く発想は面白く現実感もひしひしと伝わってきたが、音響の反復が執拗でやや中弛み。もう少しスマートにしても。

いとうせいこう「想像ラジオ」【B+】

良い話として楽しませて貰った。ただDJの話し言葉も含めて全体的に文章が粗い印象。良い話として楽しませて貰った事が全てに感じる。

戌井昭人「すっぽん心中」【B+】

個人的には以前より断然巧くなっていると所感。枚数が少ない事も理由かもしれないが、メリハリがきいた書き方。ただその分この作家のエッセンスが伝わりすぎ、結果自己再生産のように読まれる可能性も。

北野道夫「失踪」【B−】

この作家の作風は嫌いではないのだが今回は付き合い切れなかったというのが本音。決して容易ではない事をしているのは分かるのだが、その容易ではない事の向こうに何があるのか、それはきちんと容易に伝えて欲しい。