2013-11-13から1日間の記事一覧

岩城けい「さようなら、オレンジ」【B+】

所謂世界文学・翻訳文学の影響をきっちり受けた様な文体で、読みやすい作品ではあるが、題材の割に新しさは感じず。感動的な場面もあり、現在の日本の作家になかなか書けない内容ではあるが、手紙といった手法や人物描写の短絡化等々、基本的な部分での力は…

絲山秋子「今は限り」【C+】

枚数に由る所が大きいのかもしれないが、哲学的な要素が取って付けたのみの印象。短い枚数なのに粗い印象も。感情の浮き沈みを文章・構成の抑揚に反映させるのが巧い作家なだけに、枚数も関係してくるのだろう。

川上未映子「ミス・アイスサンドイッチ」【B-】

作品内容としては案外面白かったのだが、冒頭からの文章のテンポからして乗り切れなかった。初期の独特の文章の間合いや勢いが好きだったのだが、ここ数作鳴りを潜めている。今作に限っては何とかして取り戻そうとしている常人の努力の痕跡。個人的に応援は…

山下澄人「コルバトントリ」【A-】

この作風でやれる極みのように感じ高評価。このような作風には相当数のアンチがいるだろうが、私は作者と同世代という事もあってか又は何かしらの共通体験があるからのか違和感なく楽しむ事が出来た。細部と全体のバランスも良い。但しこの作品で理解できな…