畠山丑雄 「地の底の記憶」 【B+】

物語内容の一種の壮大さに文体が淡々と追随している。重厚さも醸し出ている。これは素人ではなかなか真似出来ない冷静沈着とした芸当だが、この作者は遣り切っている。それでも今一つ物足りなくと感じてしまうのは、やはりこれが既成の文学の亜流の如く感じられてしまう点。簡単に言えば古臭い。この古臭さに依拠せずに、重厚さを醸し出せるはずだと思う、まだ大学在学中だというこの作者は。