小野正嗣 「九年前の祈り」 【B】

多様な読みを喚起出来そうな作品という意味合いでは良い作品と所感。大学のゼミに向いているかも。読んでいて心を揺さぶられる作品ではなく、著者の思いを後で知った時の方が揺れぶられるのというのはどうだろう。文学的読解を待ついかにもな表現が散りばめられており鼻白む。作者のこれまでの作品の中では文体共々読みやすい部類だろうが、やはりもう一工夫あってもいいのでは。