2013-08-16から1日間の記事一覧

丹下健太「猫の目犬の鼻」【B+】

この作家の特徴がうまく出ている気がし面白く拝読。前半から後半にかけてややだるさも感じたが、それも織り込み済みの文体。男性作家がここまで女性をすんなりと自然体で書けてしまうことに一種の戦慄。時間の転換はもうすこし工夫があっていいように思えた…

小山田浩子「穴」【B】

文芸誌界で話題の新人のようだが、やや気負いすぎたか。前半から穴にはまるまでは描写も含めて流れが良かったが、後半の義理の兄が出てくる前後からバランス失調。正直後半は眠気との戦い。書き急いで最後は義理の祖父の死・再雇用を無理やり押し込んだ感が…

佐藤友哉「ベッドタウン・マーダーケース」【C+】

文体として佐藤は嫌いではないが、この作品にはいまいち乗っかりきれず。3・11をSF化しつつそこにリアリズムを植え込む目論見が透けて見えすぎた。及び腰の印象。

新庄耕「オッケ、グッジョブ」【B】

話の設定そのものは悪くなく、デビュー作の連作のようにも感じたが、正直デビュー作の方がよかった。デビュー作の方が突き抜けていた。面白いやりとりも要所に見られたが、全体として今作はパンチ力に劣る。この作品を前半部とした後半部が読みたい。

木村紅美「ナイト・ライド・ホーム」【B−】

久しぶりに休暇を得て文芸誌をまとめて読む。一発目の作品だったが正直残念だった。全体的に退屈な作品だった。作中退屈さが貫徹している部分では評価できるが、3・11をとってつけた様なやりとりや諸々の凸凹が要所にあり、歯がゆさも。何かをなぞってい…