2016-06-20から1日間の記事一覧

山下澄人「しんせかい」 【B+】

後半の中頃までは楽しく読めた。ユートピアともディストピアとも言えぬ様な世界がくっきりと現れ、興味深い。この作家の新境地とも読めるが、これまでよりくっきりとしている分シーンの移行の凹凸等の弱点が随所に散見。具体的世界の物語の終え方への逡巡も…

小谷野敦「母子寮前」 【B−】

古書市で安く手に入ったので早速読了。丁寧な国語で書かれている点は力量を裏付けているのだろうがそれだけ。私小説という制度を軸にしつつ異化しているのだろうが単純に作品として面白くない。ただ国語や制度に依拠しているだけという所感だが、倫理意識は…